2007年11月19日

おいしい日常 - 平松洋子

 いまから思えば新聞のコラムなどを読んでいたのだが、この本を購入した当時は著者の平松洋子さんのことをまったく知らなかった。文庫でお手頃価格だったことと、もともと食材や取り寄せの本に関心があることで、ついでに買った一冊に過ぎない。



 ところがどういうわけか、ページをめくる手が止まらない。珍しい食材や調味料の話題があるのはもちろんだが、実際が10かもしれないところを12くらいに美味しく表現する著者の軽妙な文章に釣られ、またたく間に読み終えた。そしてそれから数日以内に、気づけば京都の老舗に黒七味を注文し、別の店では柚子胡椒(ゆずごしょう)を購入、そして紹興酒を料理に使う機会も増えてきて−−またたく間に平松ファンのできあがり。

 ご飯を炊く釜を五つも持っている平松さん。お茶の種類は言うに及ばず温度や蒸らし方にも秘訣があり、香菜を語らせたら何時間も止まらなくなりそうな平松さん。だが目線が常に庶民で、てまひまかけた高級料理よりも家庭の味のほうが心に残りやすいと語るところに、読者を引きつける魅力があるのではないだろうか。

 著者の家庭での「おいしい」を11種、調味料を23種、おいしいを探しに出かけた話として15種を紹介、ところどころにレシピや、取り寄せ情報もある。

 なお、表紙の網焼きトーストの写真について:
 ほかの平松さんの著書では網焼きでトーストする話が出てくるのだが、この本ではトーストどころかパンの話も出ていなかったような気がする。気のせいかと目次を何度も見直したが…。わたしもトーストが好きなだけに、これが残念だ。
posted by mikimarche at 16:55| Comment(0) | エッセイ