2015年03月04日

アメリカ南部の家庭料理 - アンダーソン夏代

 アメリカ南部の家庭料理の本と言葉で聞くと連想するものが人それぞれかもしれないが、いわゆるフライドチキンやバーベキューのような代表格のみならず、ゆで野菜やシチューのような煮込み、そして肉に限らず魚の揚げ物などバラエティに富んでいる。



 とにかく画像がきれいで驚く。そして著者が日本人で日本語の本である関係上、食材や入手方法、日本で手にはいりにくい場合の代替え品の解説などが細かく記載されていて、かなり読みやすい仕上がりになっている。

 アメリカは国土が広く、北東部のニューヨークやボストンに見られるような初期のころからイギリスの影響が強く残る地域とはまた異なり、南部にはたとえば黒人の文化とフランスの文化が融合したクレオール(おもにルイジアナ州ニューオリンズに見られる)や、スペイン語文化圏であるメキシコと国境を接したテキサス州など、さまざまな多様性が見られ、当然のこととして食もまた幅広い。それらを適度な量の一冊にまとめ上げて紹介する本の存在は、とてもありがたい。

 全体の構成は、おおまかに…
○ 前菜 6種
○ スープとサラダ 6種類
○ サイドディッシュ 9種類
○ メインディッシュ 14種類
○ ローストチキン 3種類
○ パンとビスケット 4種類
○ デザート 5種類
○ 朝食とブランチ 7種類
○ 飲み物 4種類
○ 基本その他 7種類
○ 献立例 6種類
○ ほか、読み物
…と、なっている。

 わたしが実際に作ったのはP.90の「南部風フライドフィッシュ」だけだが、適度なサイズの海老をハーブの衣で揚げたP.22の「ケイジャンポップコーン」も、ぜひ作ろうと思っている。
posted by mikimarche at 12:50| Comment(0) | 実用(食べ物・食文化)

2014年02月11日

石井好子のヨーロッパ家庭料理 - 石井好子

 ヨーロッパの家庭料理をもとめて、知人などの紹介を通じ三十カ所以上を訪れた石井さんの力作。取材とことわって料理を提供してもらっているため、一般家庭のものという以上に気どったもてなしもあるかもしれないと著者自身も感じているのは後書きにあったとおりだが、個人宅を中心とした構成には、料理内容を越えた暖かみが感じられる。




 国々の多くが地続きで、歴史的にも文化が混じった度合いが日本と他国の例に比較してはるかに高いヨーロッパでは、一概にどこそこの国の料理と呼べないものも多い。著者が求めているであろうその国らしい家庭料理のイメージをくみ取って料理を作ってくださったであろう方々に、読者としてもお礼を述べたい。

 料理もデザートも、いまの日本でようやく少しずつ(カタカナ名として)知名度が上がっているようなものが、当時の石井さんの言葉と表現で無理なくつづられている。

 現在のクレームブリュレのようなものだと思うが、ポルトガルのページで紹介されているクリーム菓子が圧巻。平たい大きな銀盆にカスタードクリームを大胆に流し入れ、砂糖をかけて、熱したコテで表面をあぶっていくという。なるほど、大皿でブリュレをしたら美味しいだろう。ポルトガルではこんな風に楽しむこともあるのか。ついつい日本風に小さく、個別容器のブリュレのことばかり考えてしまう。

 イタリア料理の前菜でパスタが出るのは南イタリアが多く、北は米がとれるのでリゾットなど米料理が出るという。また、宵っ張りの国は朝食が軽く(スペインやフランス)、夕食が早い国(北欧など)は、朝食が豪華だとか。なるほど、ヨーロッパということでおおざっぱに考えてしまいがちだが、たしかにイギリスやアイルランドでは豪華な朝食を食べた記憶があるし、フランスのホテルで出たのはパンとジュースとカフェオレだけだった。それに、ネットで見るデンマークなど北欧の朝食は、実に美味しそうだ。

 実際に作るための配合や手順も書かれているが、読み物部分がとても楽しい。この本と出会って数ヶ月、料理を作ろうと思ったことはないが、何度も文章を読み直している。
posted by mikimarche at 16:30| Comment(0) | 実用(食べ物・食文化)

2014年01月01日

定番おせちとお祝い料理 - 世界文化社

(2009年秋に書いた記事を再掲)

 自分がこれから学びたい方面で類書が各社から出ていたら、「特選実用ブックス」にしておくと、はずれが少ない。以前にも餃子・春巻き、アジア料理ほか、何冊か読んで役に立った。基本を押さえているのはもちろんだが、簡単で手抜きのような要素が少ないため、そこそこ本格な気分が味わえるのもうれしい。

 おせちの本を持っていなかったことに気づき、本書を手にした。
 構成にすぐれ、読みやすいレシピがならぶ。



まずは定番の重箱詰めおせちの具から
----------
一の重
豆、伊達巻き、結びかまぼこ、昆布巻きなどの作り方と、関連したアレンジレシピ

二の重
紅白なます、わかさぎの南蛮漬け、牛すね肉のしょうゆ煮、ほか

三の重
煮しめ各種、残り野菜の活用法、鶏の松風焼き、おせち盛りつけ方法、ほか
----------

そのほか、手軽な皿盛りおせち
例:ローストビーフ、えびの道明寺粉揚げ、くわいの揚げ煮

お雑煮と餅料理
例:関東風雑煮、関西風雑煮、酸辛湯風スープ雑煮、明太子磯辺焼き

春夏秋冬のお祝い料理
例:雛祭り、こどもの日、暑気払い、十五夜、冬至、春の七草


 そしてページの合間には、くわい、ゆり根、うど、冬瓜などの下ごしらえ一覧もある。

 多くの家に、ほとんど使われていないお重が眠っているのではないだろうか。わが家も来客時に数回ほどおにぎりとおかずを詰めて出しただけのお重がある。年末にご家族で少しずつ担当し、お正月に食卓に出してみるのも、味わい深くてよいかと思う。
posted by mikimarche at 14:30| Comment(0) | 実用(食べ物・食文化)

2013年03月07日

ドイツ生活から生まれた 私のお菓子 - 田中典子

 フランス菓子、あるいは一般的な「洋菓子」レシピの本に比較して、ドイツ菓子は圧倒的に少ない。わたしも何冊かは持っているが、オーストリアの菓子と合わせても、大手出版社の商品でいつでも入手可能なものとしては、10冊に満たないかと思う。
 …これは、ひとつには、数千冊を刷ったら(よほど瞬く間に在庫が捌けたわけでもない場合)あとは絶版扱いにするという日本の出版事情もあると思うので、一概には言えないかもしれない。だが、有名な書店通販サイトで「ドイツ菓子」「ウィーン菓子」などと入力してみれば、わたしの言わんとするところは、わかっていただけるはずだ。すぐ入手困難になる。

 というわけで、日々あれこれとレシピ本を画像検索していたわたしの目の前に、見たことのない表紙の本が現れた。

(これはわたしが実物を撮影したもの)
ドイツ生活から生まれた 私のお菓子

 どうやら自費出版らしく、書店サイトで見かけなかったのも無理はない。著者にメールをすると入手方法を教えてもらえるとわかったのだが、まずは公式サイトを見ていたら、目次まで細かく書かれていた。かなり品目が多く、期待が持てそうだったので、安心して連絡をとることができた。
(著者さんはとても親切な方で、丁寧に応対してくださった)

 最初のメールからたった数日で手元に本が届いたのだが、予想よりとても立派で装丁もよく、これで2800円(本には3800円と書かれているが)とは、なんとお買い得なのだろう。

 目次の詳細は公式サイト(リンク)におまかせするとして、感想をいくつか。

 基本生地を三種類解説し、トルテとクーヘンを中心(注 *1)に、クッキーのレシピ、キッシュなどの食事パイ、そしてパンなど発酵菓子の紹介。

 すばらしいラインナップだが、著者は製菓の勉強のために渡独された専門家ではなく、地元の方々との交流でお菓子に親しみ、たくさん作っていくうちに、いつか本にまとめたいとの思いが募った。そしてご家族の協力により、写真撮影やデータ整理がおこなわれるようになったという。おそらく出版のために改めて作り直したお菓子は少なく、普段からこうしてきれいに作っていらっしゃるのだろうし、結婚式やパーティのための作品は、まさに一期一会のものだろう。マジパンの薔薇など、日本の若手パティシエでもなかなかやらない(とても面倒そうな)作業だが、美しい仕上がりになっている。

 本の表紙の画像はP.96「層模様のトルテ」で、白黒のスポンジを別々に焼いて積み重ね、さらにそのあとで中央をすり鉢状にえぐって上下を逆にするという、手間はかかるがとても美しいケーキ。これを表紙画像に選んだのは正解だ。豪華で、インパクトあり。

 パンも素朴な食事パンが紹介されていて、これならわたしもすぐ挑戦できそうなものが多い。パン作りに親しんでいる人にはおすすめ。

 P.161のザワータイク(サワー種)を見て、感動した。いままでライ麦と水を混ぜていって、何週間もかけて酵母を起こすものだと決めつけ、失敗しては捨てていたが…。そうか、最初はヨーグルトとライ麦とぬるま湯で育てれば、勢いが出るかもしれない。そのあとで日数をかけてパン種にしていけば、いつかはドイツパンが焼けるかもしれない。

 よい本に巡り会えて、よかった。

++++++++++
最後に、上のほうで「注 *1」と書いた部分だが:

わたしなりに解釈している用語
○ トルテ 丸いケーキ、日本人が連想するケーキのような存在。
○ クーヘン 焼きっぱなしでデコレーションがない場合などは、丸くてもクーヘンだが(例:マンデルクーヘン)、だいたいは、パウンドケーキのようなもの、焼きっぱなしのバターケーキを連想すれば、間違いない。

おそらく、これでそんなに間違えていないと思う。
posted by mikimarche at 21:35| Comment(0) | 実用(食べ物・食文化)

2012年11月09日

ドイツ菓子大全 - 技術監修 安藤明

 ユーハイム本店のドイツ製菓マイスターである安藤明氏の監修本。バウムクーヘンファンにはありがたいことに、約10種類の配合と生地作りが紹介されている。



 生地の味わいが勝負のドイツ菓子。見た目の繊細さはフランス菓子には及ばないが、質感のある素材重視の味わいは、写真からも伝わってくる。

 ほとんどの菓子類は業務用サイズで書かれているが、いくつかは24cmの丸型で作れるトルテもあり、家庭用に計算しなおして作ることも可能かもしれない。

構成は、おおまかに:
++++++++++
基本のマッセ、タイク、そしてクレメ
(マッセ、タイクは生地、クレメはクリーム)

生地の芸術、バウムクーヘン
基本の紹介と10種類のバウムクーヘン配合

素朴な生地の半生菓子
例:ザントクーヘン、モーンクーヘン

発酵菓子の生地
例:ブッタークーヘン、モーンシュトレン

生地と素材の調和 トルテとシュニッテン
例:ケーゼクーヘン、エルトベアトルテ、ヘレントルテ

個性的な生地の伝統菓子
例:レーリュッケン、スペクラチウス

多彩な生地の小さな菓子
例:バニラキプフェル、ボベス
++++++++++

 写真が豊富で見ているだけでも楽しいが、値段は4700円+税となっており、人によっては敷居が高いかもしれない。
posted by mikimarche at 14:40| Comment(0) | 実用(食べ物・食文化)