花粉症の症状緩和のため、沖縄での暮らしを選んだ著者。沖縄でいまも人々の生活に溶けこんでいるユタ(女性シャーマン)の存在や、現地での民間信仰、神様のことに最初は関心がなかった。だがご自分の両親の名前を、名前のよくある誤読も含めて当てられたことで、興味を持つようになる。
聞きとった話が多く収録され、誰それのところに何が出た、ユタに話を聞いてもらったなどの、怪談では一般的な(?)展開もある。だが、あまりにも登場人物らの描写が生き生きとしているために、笑ってしまうこともしばしば。
自分の店に女の幽霊が来たので脅してやった、もう来るなと塩を撒いてせいせいしていたら、のちにユタがやってきて、このあいだ亡くなったあんたのお孫さんは、店でかくれんぼがしたかったのに−−やら。
七章目の「砂場のオジイ」からはじまるオジイ連作は抱腹絶倒。人に迷惑をかけまくって死んだオジイ(幽霊で出てくる)と、その孫のところに出てきていると知った娘が「さんざん迷惑かけやがったのに孫(自分にとって息子)のところに出てきてないで、さっさと成仏しやがれ」と怒りまくる話。娘が怖いので孫のところにばかり相変わらず出るオジイと家族の、笑いなしには読めない話だ。
夏だからかもしれないが、Kindle Unlimitedの対応作品(定額)だった。購入した場合でも数百円なので、ぜひご一読あれ。
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