2019年12月30日

kotoba 35 日本人と英語

 春ころに書店の店頭にあった季刊誌。冒頭ではつい先日まで文科省が迷走していた英語の民間試験を懸念する対談が組まれ、つづいて日本での外国語教育の歴史(古くはオランダ語、のちにオランダ語の学習を経由しての英語)、江戸や明治の英語教材など資料価値の高いものを紹介しながら、それぞれのコラム担当者が専門的な視点から日本人と英語を語っていく。



 全体の4分の1程度の内容で読むのを忘れ積ん読していたが、先日からあらためて読み直してみた。

 まずは英語の前に日本語をきちんと操れるほうが大事というもっともな意見があれば、いや聞き取り能力の開花は若いうちのほうが有利であるというのもたしかにそうかもしれないとうなずいたりと、考えさせられる。文法からきっちりやるのか、コミュニケーションが大事なのか、そもそも英語の発音だけよくて日常の会話ができても「だから何」で終わってしまうのではないかなど、語学に関心のある人ならばひととおり考えそうなことが、このムックの中でおさらいできる。

 わたしが思うに、日本人は英語ができないのではない。むしろ読解力や文章力など、必要に迫られている立場の人は優秀であるように思う。
 ただ、発音がよい悪い、会話ができるできないというのには別の要素がからんでくるかもしれない。日本では、人前で自分の意見を堂々と発表してよいとする考え方や、そのための学びの機会が、子供たちにじゅうぶん提供されていないのではないか。その結果として、仮に相手の英語が理解できても「その話題に関してしゃべる内容がない、自分の意見というのを発表しなれていない」のではないかと、わたしは考えている。

 こんな風にさらりと紹介してしまうと軽い書籍と思われてしまうかもしれないが、対談や執筆者として登場するメンバーの顔ぶれはそうそうたるもの。バックナンバーを扱う店でなければ入手はむずかしいかもしれないが、見かけたらぜひ目次だけでも見ていただきたい。
posted by mikimarche at 23:15| Comment(0) | 実用(その他)
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