2019年02月23日

いちばんくわしい パン事典 - 監修 東京製菓学校

 ある程度は製パンについて下地ができている人向けの参考書。各国のパンを写真で紹介しながら、分類や使われる酵母の種類、配合(ベーカーズパーセント)を記載する「世界パンの旅」の章が、全体の大きな割合を占める。ヨーロッパ、アジア、中東、ロシア、アメリカなどの有名なパンを解説しながら、日本に関してはより細かく、惣菜パンや甘食にまで言及。これから製パンに親しんでいく人でも、読み物としては楽しめるかと思う。



 その世界めぐりが終わると、次には製パン全体の話として原材料や道具、パン製法(ストレートか、中種かなど)を解説して、本の最後のほうで、パンの楽しみ方や、入手したパンのアレンジ方法(たとえばバゲットがあまったらボストックにするなど)を掲載。

 コンパクトで、よくまとまっている。

 ところどころに有名パン店のパンの画像が具体例として載っているなど、ある意味で広めの読者層を狙ったのではと思われる記述もあるが、わたしは個人的に、それらはなくてよいように感じた。個別のパン店を掲載せずにあっさりと知識としてまとめたほうが、本は長生きする。たとえば掲載したパン店が閉店してしまうなどのことで、ほんの数年後であれ読者に「ああ、この本は古い」と認識させることもじゅうぶんに考えられるのだ。

 わたしは電子書籍版で読んだが、手もとにおいて台所で読む種類の本ではないため、紙である必要はないかと思う。どちらかといえば電子書籍がおすすめ。

 逆に、世界のパンのレシピが具体的に載っているわけではないので、それを期待している人は、本書以外を検討したほうがよいかと思う。
posted by mikimarche at 01:15| Comment(0) | 実用(食べ物・食文化)
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