2019年02月07日

オカルト・クロニクル - 松閣オルタ

 ロシアで1950年代に大学生9人が不可解な死を遂げたディアトロフ峠事件というものがあるそうで、最近ネットで話題にしている人がいた。検索をしてみたところ本書の著者が運営している同名のサイト「オカルト・クロニクル」が見つかり、いくつかの事件を読んでみると文体は軽快なのにきちんと筋立てて書かれており、なかなかおもしろい。書籍版には書き下ろしの事件もはいっているということで、購入してみた。



 まず最初に読んだのは後半のほうにあったファティマの預言である。幼少時からの聞きかじりで内容を把握しているつもりだったが、なんと預言は月に1回ずつ7回にもおよび、最後の回は大勢の人々が埋め尽くす場所に何らかの光る現象が現れたそうだ。当時にiPhoneがあったらさぞかし素晴らしかっただろうと不謹慎なことを書いてしまうが、こうした多くの人が「知っているつもり」の話にも、丁寧な解説と独自見解がつづられている。

 つづいて読んだのは赤城神社の女性行方不明事件。これは書き下ろしだ。以前に行方不明から数年の段階でテレビ番組「テレビのチカラ」に取り上げられたことがあり、わたしも内容はよく覚えていた。オカルト・クロニクルというタイトルの本に収録されるような意味での事件なのかと、購入前に目次を見て考えたが、本書はいちおう事件の最後に(オカルトやUFOを含む)さまざまな見解を書くのがお約束になっているものの、全体としては不思議な事件を掘り下げて書くスタイルであり、「不思議な事件をまとめた本」というくくりである。関係者からテレビで放映されたリマスター済みのビデオを見せてもらうなど、軽い意味でのブロガーとは一線を画した取材姿勢がすばらしい。

 世間を騒がせた岐阜県の団地におけるポルターガイスト事件など、さまざまな方面からの事件を15件掲載する。いくつかサイト上で読んでみて雰囲気をたしかめてから書籍購入をするのもよいかと思う。

 川口浩探検隊、矢追純一のUFO番組、ユリ・ゲラー、新倉イワオや宜保愛子の番組に染まって成長してきた中高年には、なかなか味わい深い珠玉の一冊となっている。ついでに書くが「うしろの百太郎」は大人になってから集めなおしたほど好きだった。

 ところでわたしがこの本でギョッとしたのは、おそらく著者が予想もしていなかった部分である。著者にとってはあたりまえすぎて、何気なく書いた文章なのだろうが、福島県の便槽で男性の遺体が見つかった事件、そして東電の女性社員の殺人事件にそういう話があるとは、まったく知らなかった。気になる方は検索をしてみるとよいかもしれない。まったく予想しない場所から、自分の知らない世界がひろがっていたことに気づくのもまた、ちょっとした恐怖体験といえるだろう。
posted by mikimarche at 23:30| Comment(0) | 実用(社会・事件)
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