2012年06月05日

新聞記者で死にたい - オウム事件と闘病の日々 - 牧 太郎

 40代後半の仕事人間が、不摂生と過労で脳出血…。残念ながら、起こりうる話。そしてたいていの場合は重い後遺症を引きずるか、運が悪ければお亡くなりになる。



 著者の場合は、不幸中の幸いであることに、パーティでスピーチを終えた直後に倒れた。しかも目の前には判断力のある業界人がたくさんおり、うちひとりの男性が自分の企業の関係した病院(専売病院、つまり昔のタバコ公社)に、すぐさま入院の段取りをつけてくれた。

 言葉を思うように操れない、発語がうまくいかない、目の前にしているものの単語名がすぐ出てこないなどの言語障害、右半身の重い麻痺、そして倒れる直前に週刊誌で特集を組んだオウム真理教からの嫌がらせは、まだ尾を引いていた。動けない体で、麻痺した状態で拉致されたらどうしようという思いはあったが、言語が操れず、その恐怖を人に伝えることもできなかった。

 9ヶ月ののち、かろうじてゆっくりと杖で歩行することができる状態で著者は自宅へもどる。職場にもリハビリを兼ねて出社(ただし仕事があったわけではない)。

 かつての知己が同じく病に倒れては社会復帰した例などを見聞きしながら、著者も気力を奮い立たせて、社会へ、ジャーナリズムへと復帰を目指す。

 病を経験したとくに同年代の人、オウム真理教の事件のことをよく覚えている人なら、文句なしに楽しめると思う。

 現在は、青年期に初めて知った自分の実の父が起こしていた小さな新聞の名を借りて、ブログでの情報発信をおこなっている。
posted by mikimarche at 18:50| Comment(0) | 実用(その他)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]