2012年06月05日

愛おしい骨 - キャロル・オコンネル

 20年前のある日、森にはいった少年のうち、弟が帰らなかった。行方不明のまま月日は流れ、軍で優秀な捜査官となっていた兄が、故郷にもどる。



 周囲の慰留努力もむなしく、彼は退職し、故郷の街へ。そこに何があるのか。なぜ彼はもどったのか。

 そこでは老いた父、その面倒を見てくれている同居家政婦の住む家に、夜な夜な一本ずつ、弟の骨がとどいていた−−。

 実に、設定がいい。かき集めてもせいぜい千人程度と思われる街。たいていの人が周囲を知っていて、20年経とうがさまざまなことを覚えている。語る記憶、口にすらしない記憶、そして住民らの無言の了解。

 小規模な村で何人も人が殺されていく横溝作品的な派手さではなく、内側で進行していく事件。心が死んでいく、病んでいく、よどんでいく、その内側が、ページをめくるにつれ、やっと見えてくる。

 謎解きの物語とは直接のからみがないが、少年少女時代に恋仲になると周囲が予感したものの、現在は主人公と世間話すらしないヒロイン、イザベラ。出くわせばかならず無言で主人公に暴力をふるうこのヒロインの謎が、終盤でやっとあきらかになるのもおもしろい。
posted by mikimarche at 18:45| Comment(0) | フィクション
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