2014年02月11日

石井好子のヨーロッパ家庭料理 - 石井好子

 ヨーロッパの家庭料理をもとめて、知人などの紹介を通じ三十カ所以上を訪れた石井さんの力作。取材とことわって料理を提供してもらっているため、一般家庭のものという以上に気どったもてなしもあるかもしれないと著者自身も感じているのは後書きにあったとおりだが、個人宅を中心とした構成には、料理内容を越えた暖かみが感じられる。




 国々の多くが地続きで、歴史的にも文化が混じった度合いが日本と他国の例に比較してはるかに高いヨーロッパでは、一概にどこそこの国の料理と呼べないものも多い。著者が求めているであろうその国らしい家庭料理のイメージをくみ取って料理を作ってくださったであろう方々に、読者としてもお礼を述べたい。

 料理もデザートも、いまの日本でようやく少しずつ(カタカナ名として)知名度が上がっているようなものが、当時の石井さんの言葉と表現で無理なくつづられている。

 現在のクレームブリュレのようなものだと思うが、ポルトガルのページで紹介されているクリーム菓子が圧巻。平たい大きな銀盆にカスタードクリームを大胆に流し入れ、砂糖をかけて、熱したコテで表面をあぶっていくという。なるほど、大皿でブリュレをしたら美味しいだろう。ポルトガルではこんな風に楽しむこともあるのか。ついつい日本風に小さく、個別容器のブリュレのことばかり考えてしまう。

 イタリア料理の前菜でパスタが出るのは南イタリアが多く、北は米がとれるのでリゾットなど米料理が出るという。また、宵っ張りの国は朝食が軽く(スペインやフランス)、夕食が早い国(北欧など)は、朝食が豪華だとか。なるほど、ヨーロッパということでおおざっぱに考えてしまいがちだが、たしかにイギリスやアイルランドでは豪華な朝食を食べた記憶があるし、フランスのホテルで出たのはパンとジュースとカフェオレだけだった。それに、ネットで見るデンマークなど北欧の朝食は、実に美味しそうだ。

 実際に作るための配合や手順も書かれているが、読み物部分がとても楽しい。この本と出会って数ヶ月、料理を作ろうと思ったことはないが、何度も文章を読み直している。
posted by mikimarche at 16:30| Comment(0) | 実用(食べ物・食文化)
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